パッケージマーケティングで顧客の心をつかむ! 効果や実践のポイントとは
商品の顔となるパッケージには、商品の魅力や価値を視覚的に伝えて消費者の心をつかむ力があります。
商品を手に取ってもらうには、見た目の美しさや与えたい印象を意識するだけでなく、「興味関心を喚起できるか」「感性に響くデザインになっているか」という消費者の目線に立ってパッケージを考えることが大切です。
そこで取り入れたいのが“パッケージマーケティング”です。
商品開発部門やマーケティング部門の担当者のなかには「パッケージマーケティングにはどのような効果があるのか」「実践する際のポイントはあるのか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、パッケージマーケティングの重要性や取り入れる効果、成功させるための実践のポイントについて解説します。
なお、パッケージデザインの作り方についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
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商品の付加価値を創出するパッケージマーケティング
パッケージマーケティングとは、商品のパッケージデザインによって付加価値を創出して、消費者に購入してもらう仕組みをつくる手法です。
パッケージのデザインは、商品の特徴やブランドの価値を視覚的に表現する要素となり、消費者の購買意欲にも大きく影響します。
市場にあらゆるモノがあふれて商品そのものの性能や品質での差別化が難しくなった今、消費者に「買いたい」と思ってもらうには、パッケージマーケティングを取り入れたデザインによって商品の付加価値を創出することが重要といえます。
パッケージマーケティングの重要性が高まる背景
パッケージマーケティングの重要性が高まる背景には、モノの消費に対する価値観の変化やSNSの登場などによって「商品を通してどのような体験価値を提供できるか」が重視されるようになったことが挙げられます。
これまでは“モノを所有する”ことや“自分にとって必要なモノを手に入れる”ことが消費者にとって重要とされていました。
近年では、体験・経験による“コト消費”、社会・環境に貢献する“イミ消費”といったように、商品の購入自体ではなく得られる体験に対して価値を見出した消費行動が顕在化しています。
また、経済産業省が発表した資料によると、商品の購入・使用に関して消費者が自身の消費行動を他者に共有したり、SNSを活用して商品に関する情報収集を行ったりする傾向が増加していることも分かっています。
▼商品の事前リサーチにSNSを活用する人の割合
画像引用元:経済産業省『経済産業省の消費者行政の推進に係る取組について』
商品のパッケージを通して消費者の好奇心に働きかけたり、感情・感性に訴求したりするパッケージマーケティングは、より魅力的な体験価値を届けるために重要な取り組みといえます。
出典:経済産業省『経済産業省の消費者行政の推進に係る取組について』
パッケージマーケティングを取り入れる効果
パッケージマーケティングを取り入れることで、以下の効果が期待できます。
▼期待できる効果
- リピートや指名買いの促進
- 顧客体験(CX:Customer Experience)の向上
- ブランドイメージの向上
商品のコンセプトや世界観をデザインに落とし込んだパッケージは、ブランドのアイデンティティを視覚的に印象づけられます。消費者がパッケージを見て抱いたポジティブな印象・感情が商品そのものの評価として定着することで、リピート購入や指名買いの促進につながります。
また、消費者が「好き」「かわいい」「かっこいい」「おしゃれ」などと感じるパッケージは、消費者の好奇心や愛着などの感情を刺激します。その商品ならではの経験価値を提供することで、顧客体験の向上を図れます。
さらに、商品の魅力が伝わる独自性・独創性のあるデザインによって、機能・品質だけではない付加価値を創出できれば、ブランドイメージが向上してファンの育成、競合他社との差別化にも結びつくと考えられます。
パッケージマーケティングを成功させる実践のポイント
商品開発部門やマーケティング部門でパッケージマーケティングに取り組む際は、「パッケージを通して、誰にどのような体験・経験価値を提供したいのか」を考えて、デザインの具体化と評価を行うことがポイントです。
①自社商品のポジションを分析する
商品の魅力を反映させた独自性・独創性のあるパッケージを作るには、自社商品のポジションを分析する必要があります。
競合他社の類似商品と比較して、自社商品における市場での立ち位置を分析することで、パッケージ作りの軸となる方針を定められます。自社商品のポジションを分析する際は、フレームワークを活用することが有効です。
▼自社商品のポジションを分析する際に役立つフレームワーク
フレームワーク |
分析方法 |
STP分析 |
セグメンテーション(Segmentation)・ターゲティング(Targeting)・ポジショニング(Positioning)の3つから、自社の立ち位置や狙う市場を分析する |
SWOT分析 |
強み(Strength)・弱み(Weakness)・機会(Opportunity)・脅威(Threat)の4つから自社の強みと弱み、外部環境を分析する |
4C分析 |
顧客価値(Customer Value)・コスト(Cost)・利便性(Convenience)・コミュニケーション(Communication)の4つの項目を顧客視点で分析する |
②コンセプトを具体化させる
パッケージを通して消費者に魅力を訴求するには、商品が持つ特徴やブランドの世界観などからコンセプトを定めて、デザインへ反映することがポイントです。
“らしさ”が伝わるデザインにすることで、商品のイメージづけが促されて「○○といえばこの商品(ブランド)」という認知を定着させられます。
▼コンセプトを具体化させたパッケージデザインのポイント
- 色による心理効果と表現したいイメージを踏まえてパッケージの配色を選ぶ
- 商品の特徴がひと目で分かるキャッチコピーやキービジュアルを入れる
- パッケージの素材・加工方法で商品の品質や質感を演出する
③ターゲット層の嗜好・価値観を捉える
消費者の心をつかむパッケージを作るには、ターゲット層の嗜好・価値観などを捉えることがポイントです。
企業目線だけでなくターゲット層の視点から好まれる雰囲気・ニーズ・課題を考えることで、共感を生むデザインを検討できます。
ターゲット層の嗜好や価値観を捉える際には、収集した顧客情報を基に“どのような人物なのか”を詳細に定義したペルソナを設計することが有効です。
ペルソナの設計に用いる顧客情報には、性別・年齢・購買履歴などが挙げられます。SNSのキャンペーンやECサイトの会員登録などによって、顧客の消費行動、価値観、ライフスタイルなどを調査する方法もあります。
▼ペルソナの設計項目
- 属性(氏名・性別・年齢・居住地)
- 家族構成
- 職業
- 結婚の有無
- 収入
- 平日・休日の過ごし方
- 趣味
- 価値観
- お金の使い道
- 悩みや願望 など
④パッケージの効果を評価する
パッケージマーケティングの効果を最大限に高めるには、消費者へパッケージに関する調査を行い、店頭での目立ちやすさや購買意欲の変化などを評価することがポイントです。
「消費者がどのような印象を持つか」「ターゲット層からの共感を得ているか」などの反応を客観的に把握することで、改善点を明らかにしてより訴求力の高いパッケージへと見直しを図れます。
▼パッケージの効果を測定する方法
測定方法 |
概要 |
会場調査(CLT:Central Location Test) |
調査対象者を会場に集めて、パッケージの印象や評価に関するアンケートまたは聞き取り調査を行う |
インターネット調査 |
モニターを募集してインターネット上でパッケージに関するアンケートや感想などを収集する方法 |
分析ツール・サービス |
パッケージの注目性や印象を定量的に分析できる外部のツールまたはサービスを利用する方法 |
なお、会場調査の実施ステップについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、パッケージマーケティングについて以下の内容を解説しました。
- パッケージマーケティングの概要と重要性
- パッケージマーケティングを取り入れる効果
- パッケージマーケティングを成功させる実践のポイント
商品がもたらす体験価値が重視される今、パッケージマーケティングは消費者の好奇心や感情・感性に働きかけて、より魅力的な体験を提供するために重要な取り組みといえます。パッケージを通して商品の付加価値を創出することで、リピート・指名買いの促進や顧客体験の向上、ブランドイメージの向上が期待できます。
パッケージマーケティングに取り組む際は、自社分析によって現状を把握するとともに、コンセプトを反映させること、ターゲット層の特性を分析して嗜好や価値観を捉えることがポイントです。
また、消費者が「買いたい」と思えるパッケージかどうか、調査によって客観的な評価を行い、デザイン・素材などの改善につなげることも重要です。
コニカミノルタの『EX感性』では、独自の画像解析技術と感性脳工学に基づき、視線の動きや印象などを定量的に分析することで、より“売れる”パッケージデザインへと導きます。ターゲット層の感性を可視化することで、パッケージマーケティングによる訴求力の向上を目指せます。
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