クロスマーチャンダイジングで売上促進! 関連商品を購入してもらう方法とは
店舗の売上を伸ばすマーケティング施策の一つに、“顧客一人当たりの購買点数を増やして、客単価を上げる”方法があります。
一度の買い物でより多くの商品を購入してもらうには、顧客のニーズや購買行動、心理などを意識した売り場作りで「つい商品を手に取りたくなる」きっかけを創出することが重要です。
そこで取り入れたいのが“クロスマーチャンダイジング”です。
店舗のマネージャーやマーケティング部門の担当者のなかには、「クロスマーチャンダイジングで何が期待できるのか」「どのように取り組めばよいのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、クロスマーチャンダイジングの概要や期待できるメリット、実施する手順について解説します。
なお、店舗マーケティングの方法やポイントについては、こちらの記事で解説しています。併せてご覧ください。
目次[非表示]
- 1.クロスマーチャンダイジングとは
- 2.クロスマーチャンダイジングのメリット
- 3.クロスマーチャンダイジングのデメリット
- 4.クロスマーチャンダイジングを実施する手順
- 4.1.①メイン商品を選定する
- 4.2.②関連商品を選定する
- 4.3.③販促活動を実施する
- 5.まとめ
クロスマーチャンダイジングとは
クロスマーチャンダイジングとは、売り場に関連商品を組み合わせて陳列して、顧客の購買意欲を連鎖的に活性化させる販売手法です。クロスMD(Merchandising)とも呼ばれます。
顧客が求めている商品とカテゴリが異なる関連商品を近くに陳列することで、本来買う予定がなかった商品の衝動買いを誘発して、売上の向上につなげる目的があります。
▼食品売り場におけるクロスマーチャンダイジングの例
- 酒類がある陳列棚の近くにおつまみを置く
- 精肉売り場にタレ商品を陳列する
- 野菜売り場にドレッシングを置く など
なお、クロスマーチャンダイジングは、顧客に商品を買ってもらうための商品計画や販売戦略を指す“マーチャンダイジング”の一種に当たります。
そのうち商品を視覚的に訴求するビジュアルマーチャンダイジング(VMD)については、以下の記事で解説しています。
クロスマーチャンダイジングのメリット
クロスマーチャンダイジングを取り入れた売り場を作ることによって、店舗側と顧客側の双方にメリットが生まれます。
店舗側のメリット
店舗側が期待できるメリットには、以下が挙げられます。
▼店舗側のメリット
- 客単価の向上を図れる
- 顧客満足度の向上につながる
関連商品を組み合わせて陳列すると、もともと購入するつもりだった商品に加えて必要性を感じやすくなり、“合わせ買い”“ついで買い”を促せます。一人当たりの購買点数が増えれば、客単価が向上して売上の拡大にも結びつくと期待できます。
また、店舗で合わせ買いされやすい商品を紹介したり、商品の組み合わせによる活用例を提案したりすることで、買い物の利便性と体験価値を高められます。その結果、顧客満足度の向上につながると考えられます。
顧客側のメリット
顧客側のメリットには、以下が挙げられます。
▼顧客側のメリット
- 買い忘れを防げる
- 買い物時間を短縮できる
関連商品を陳列することで、連鎖的に必要な商品を思い起こせるようになり、買い忘れを防げます。また、同じコーナーで必要な商品を揃えられると店内を歩き回って商品を探す必要がなくなるため、買い物時間の短縮につながります。
クロスマーチャンダイジングのデメリット
クロスマーチャンダイジングの取り入れ方によっては、うまく衝動買いを誘発できなかったり、かえって買い物がしにくくなったりする可能性があります。
店舗側のデメリット
店舗側のデメリットには、以下が挙げられます。
▼店舗側のデメリット
- 関連商品の購入を促せない場合がある
- 売り場作りに労力・時間がかかる
顧客のニーズを考慮しておらず、組み合わせて陳列する関連商品に必要性を感じてもえらえない場合、合わせ買いを促せなくなります。事前に顧客のニーズを把握したうえで、関連商品を選定する必要があります。
また、クロスマーチャンダイジングの取り組みを行ったものの、売上が伸びず期待した効果が得られないと、売り場作りに充てた時間や労力のロスにつながります。
顧客側のデメリット
顧客側のデメリットには、以下が考えられます。
▼顧客側のデメリット
- 必要のない商品まで購入してしまう
- 関連商品の比較検討がしにくい
購入を予定していなかった関連商品を衝動買いしてしまい、想定外の出費になる可能性があります。また、関連商品として一緒に陳列できる商品数には限りがあるため、専門コーナーに足を運ばなければ複数の商品を比較検討しにくくなります。
クロスマーチャンダイジングを実施する手順
店舗の売り場作りでクロスマーチャンダイジングを実施する際は、顧客のニーズや活用シーンなどを踏まえたうえで、商品の組み合わせと訴求方法を考えることがポイントです。
①メイン商品を選定する
売り場で合わせ買い・ついで買いを促したいメインとなる商品を選定します。
顧客に関連商品を一緒に購入してもらうには、一定の売上が見込める商品をメインに選定する必要があります。
▼メイン商品を選定する際の判断基準
- 店舗のなかで販売数が多い
- 商品の回転が早い
- 同じカテゴリの商品について品揃えがよい
- 陳列スペースが広く、目立つ場所に設置している など
②関連商品を選定する
メイン商品の活用シーンを想像したうえで、組み合わせて販売する関連商品を選定します。関連商品を選定する際は、“いつ・どこで・誰が・どのように”使うかを考えて、メイン商品と一緒に使える商品を検討する必要があります。
また、店舗側が売りたい関連商品を選ぶだけでなく、“顧客にとってニーズがあるか”“購買意欲を刺激できるか”という視点を持つことも重要です。
つい手に取ってしまうような関連商品を選ぶには、買い物履歴が蓄積されたPOSデータを活用して併買分析を行うことがポイントです。併買分析の代表的な手法の一つに“バスケット分析”があります。
バスケット分析は、顧客の買い物かごにある特定の商品と一緒に購入されやすい商品を分析する手法です。以下の4つの指標を基に商品の相関関係を把握できます。
▼バスケット分析の指標
指標 |
意味 |
計算式 |
1.支持度 |
全体のうち商品Aと商品Bを同時購入する顧客の割合 |
支持度=商品AとBの同時購入者数÷購入者全体数 |
2.信頼度 |
商品Aを購入した顧客のうち、商品Bも同時に購入した顧客の割合 |
信頼度=商品AとBの同時購入者数÷商品Aの購入者数 |
3.期待信頼度 |
全体のうち商品Bを購入した顧客の割合 |
期待信頼度=商品Bの購入者数÷購入者全体数 |
4.リフト値 |
商品AとBの同時購入に相関関係があるかを示す値 |
リフト値=信頼度÷期待信頼度 |
最終的なリフト値が1以上になる場合には、商品AとBが同時に購入されやすいと判断でき、数値が高くなるほどその可能性が高いことが分かります。
③販促活動を実施する
メイン商品と関連商品を選定したあとは、売り場に陳列して販促活動を行います。顧客の目にとまりやすく、購買意欲を掻き立てる陳列方法やディスプレイを取り入れて合わせ買いを促進します。
▼販促活動のポイント
- 関連商品の活用シーンを連想させるキャッチコピーを記載したPOPを陳列棚に設置する
- メイン商品の視界に入りやすい場所に関連商品を設置する
- 組み合わせた商品のセット割引を実施する
メイン商品の陳列棚において、関連商品を見てもらいやすくする陳列方法には以下が挙げられます。
▼関連商品の販売に有効な陳列方法
陳列方法 |
概要 |
エクステンド陳列 |
棚板の2~3段目に網棚をかけて、陳列棚の前面より張り出して陳列する方法 |
ウイング陳列 |
かごやボックスを棚のエンドまたはサイドに配置して陳列する方法 |
フック陳列 |
フック型の什器を棚に設置して商品を吊り下げて陳列する方法 |
なお、棚割りの最適化についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
この記事では、クロスマーチャンダイジングについて以下の内容を解説しました。
- クロスマーチャンダイジングの概要
- 店舗側と顧客側のメリット・デメリット
- クロスマーチャンダイジングを実施する手順
クロスマーチャンダイジングを意識した売り場作りを行うと、客単価の向上によって売上の拡大を図れるほか、買い物のしやすさや体験価値の向上によって顧客満足度の向上につなげられます。
実践する際は、安定した売上が見込めるメイン商品を選ぶとともに、併買分析を実施して顧客のニーズに合った関連商品を選ぶこと、販促活動を通して購買意欲を高めることがポイントです。
また、合わせ買いを促進できる売り場をつくるには、顧客が陳列棚のどの部分に注目しているか視認性や印象などを分析することも有効です。
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